おやすみ

「なんでできないんだよ」「使えねえなあ」「チッ」「そんなこと知らねえよ」

 

今日は3人の客の顔と言われた嫌味を思い返しながら眠れるまで豆電球を眺める。

今日は、と書いたものの、最近はもっぱらこんな感じで、天職と思われた接客の仕事に心底うんざりしてしまった。新型肺炎の影響は店頭で働く私の生活に大きく関わり、遊びに行けない、友達と会えない、よりも、くその客と接する苦痛の方がはるかに大きい。6年目にして客のくそみたいに頭が悪い主張やわがままや理不尽な暴言に夜ひとりで泣いてしまう。命をかけて出勤し、生活インフラを止めない為の車載の歯車として耐えて、必死にかけ回り続けていても、ごみみたいな客は自分の思い通りにならないことをすべて店頭スタッフにぶつける。こんな有事にも到底信じられないほど頭が悪く、常識に欠ける人間で店内が溢れかえる。疲れてしまった。どうしてそんなに頭が悪いの。どうして、そんなに、頭がおかしいの。

このご時世に店頭に沸いてでる、いわゆる情報弱者は、一般常識にも欠けるパターンが多く、頭が悪い、無知、非常識のフルコンボ、そして何故かこれらの要素を兼ね揃えたフルコンボ客は異臭がすることが多い。あくまで個人の経験から算出した統計なのでこのデータの正確性は知らない。実はメインのフルコンボよりも、オプションで付いてくる「異臭」が1番、耐え難い。なんでもいいけど、なんでくせーんだよ。

 

でも、もう限界かもしれない、いままで何度も思ってきたけど、ここまで大きなダメージ(傷害というよりは疲弊)を感じることはなかった。

これまで愛想良く聞き流せた、客から延々と聞かされる主語や述語が抜けた冗長的で何が言いたいかわかりにくい一方的な語り(客によっては、こちらが相槌を挟む事によって対話の実績がリセットされるのか、最初から同じ話を繰り返し始める人間が一定数いる。あれはなんだ。病気か?ふざけるな。)を、最近は聞き流せなくなっていて、客と対面しながら気が付いたら拳を握っていたり、ボールペンを握り締めていたり、話をぶったぎって、余計な話をしないで、用件だけ言ってくださいと声を荒げたりしている。限界、限界なんだと思う。頭が悪い人間と、1秒たりとも長く接していたくない。

これは仕事、仕事であるが、どうして客の頭の悪さにまで付き合わなければいけないんだろう。どうしてこいつはこんなにもくそなんだろう。

「こんな人間に与えられた苦痛をそのままにしていいのか?」というような声が、脳内でこだまする。気がする。正直ぶっ殺してえなと思う。なんでこいつらはここまでこちらに不快な思いをさせて、油断しきってるんだ?なんで殺されないと思っているんだ?

《あー、接客業の人達、ごみでくそな客に危害を加えたという事件の実績を作って、私達で国を変えていきませんか?》と頭の中だけで全国の同業者たちに訴えかける。犯罪者にはなりたくない、犯罪者にはなりたくないが、なんで他人の自尊心を踏みにじるこいつらは野放しなんだ?自問自答して、眠って、朝になればまた私は出勤する。明日も、何事もないみたいに笑うだろうけど、どうかな、ぶっ殺してーと思わないでいられるかな。

 

店の外で、かすのごみの客が道に迷ったり、乗りたい電車やバスがわからなかったり、喫煙所でライターがなかったり、転んだり、親父狩りにあったり、痴漢の冤罪に巻き込まれたり、車に轢かれたり、とにかくどんな困った場面に私が遭遇しても、絶対に助けてやらない。そういう覚悟で来いよ。そのつもりでいろよ。人は鏡と聞くが、接客業においてはそれはない。到底信じられないほどの、ごみくずのくそどもを、明日も威嚇して心でぶん殴って寝て忘れるんだろう。

10年後20年後、笑えてるといいな。「大変な時代だった」と、笑えてるといいな。