4/26日記

理由もなく朝4時まで風呂に浸かった。半身浴のつもりが、湯量の設定を誤って浴槽一杯になったお湯の中に潜ってみて、直前にぼちゃんと放ったバブの苦みを初めて知った。

一緒に風呂に浸かって、浴室の扉を開け放して「これはもう露天だね」と笑っていたのは、いつ、誰とでしたっけ、もうそんなことも 忘れた。

こうすると、浴室の外の少し冷たい空気がじわじわと浸食してきて、露出した肌に触れてひやっとする。そうしたら湯に身体を沈めて、じん、ときもちよく温まる。あの瞬間が好き。

 

世間とか生活が変わって少し経って、皮肉なことに時間にゆとりができて、一人でいるには少し広い部屋と向き合い、少しづつ変わっていきたくなった。

手始めに、本棚の隙間に追いやって溜めに溜めた封書や手紙、ダイレクトメールなどを大変申し訳ないが、やっと開封していった。開封済みのものもまとめて一緒になっている。

 

内訳はこうだった。

開封済みのガスの請求書2枚、開封済みの水道代2枚、J-comマガジン2月号、J-comマガジン3月号、地域のお便り、その辺の謎の店の広告、「Tポイント会員様へ」1枚、市から届いたゴミカレンダー一冊、1月の健康診断の結果、昨年2月加入した保険の証券3枚。

 

(チラシや広告類は「一切お断り、見つけた場合には通報も辞さない」という物騒なシールを郵便受けに貼ってから、殆どなくなり、それまで2週間も放置すればパンパンだった郵便受けが、今度は逆に「何か入ってるとすれば、わりと重要」な箱に変わってしまった。くだらないものでパンパンだった時代は「どうせくだらないものしか入っていないのだから」を理由に、郵便受けを開けることから逃げていたが、こうもくだらないものが減ってしまうと、目を向けるのが余計怖くなってしまった。)

 

 

ガスや水道などの請求書は、すでに電子決済で支払済みであり、なぜか支払い後も用紙を捨てなかったらしい。公共料金の口座振替の手続きは、この2年で3度挑戦したが、「口座情報を返送してください」で送るのが面倒で1度挫折、奮起して再トライを試みたが「印鑑が違っています」で2度目の挫折、3度目はいつの間にか返送期限が終わっていて、完全に諦めた。

健康診断の結果は珍しくきちんと読んだが、どの項目も「A」とされていた。ほんとうか?かなり疑わしいが、記念にクリアファイルへ入れて保管することにした。保険証券は眺めてみたがつまらなかった。きっと大切なものなので専用のファイルを作って保管する。市報の一面には、新型肺炎による影響が淡々と事務的で味気ない言葉で掲載されていたが、こういうものは、これでいいのだ。

 

ゴミカレンダーは、思いもよらない収穫だった。

これまで、市が出しているアプリや、次の日出せるゴミの種類をメールで知らせてくれるサービスを利用してきたが、アプリやメールの確認自体を忘れる愚か者には、部屋に常に掲示しておけるのはありがたい。

紙でできたゴミカレンダー、どうしようもなくださいが、この際アナログにも頼ろうと思う。

 

あとは全部ゴミだ。個人情報が満載のそれらを無心でちぎって、ちぎりまくって、私の名前や住所がバラバラになっていって、怠惰な期間なんかなかったみたいにすっきりした気持ちで、今日から新しい自分なのだと、誇りそうにもなったが、目の前には紙屑の山ができていた。

これらは燃えるゴミ。指定の変な色の袋にまとめて、今夜、誰にも見られずにゴミに出す。

 

多分、生活や感情は、まだまだ変わっていく。実は何も変わらない。

すぐに忘れる。絶対忘れない。絶対忘れない。