love

雨がじゅくじゅくとうるさい季節がきた。梅雨も夏も嫌い。夏生まれで左利きなのに、夏が嫌いで天才じゃなくて主人公じゃないのは私だけ。低身長なのに太っていて巨乳で陰で奇形体型と呼ばれるのも私だけ。

子どもの頃から地獄先生ぬ〜べ〜になりたかった なれなかった 蟹座は少しスケベでイチャイチャするのが大好き、そして人情に溢れ正義感に燃えるタイプ、らしい  死んだ方がいい。鬼の手。

 

早めの誕生日プレゼントに、誕生石であるルビーのネックレスを貰った。小さい頃になにかの本で見た「ルビー」と「ジュライ」が初めて覚えた英単語だったのを思い出した。大人になった私に優しくする母親を「虐待の禊」だと穿った見方をしていつまでも許さない一方で、たくさん差し入れられた手料理のひとつの、クリームシチューの懐かしい味に涙が出そうになった。これが1番好きだった。すぐに平らげてしまったくせに、お礼の連絡1つできないでいる。喉元にせり上がる名称不明のなにか、これの名前がわかったら改めてお礼を言うことにした。

あなたに優しくされるたびに本当は好きになりたかった、好きなまま大人になりたかったと思わされて、心から嫌だ。とにかく私が憧れるすべてはあなたに壊されて諦めさせられたから、あなたを今更肯定すると私はどうなってしまうか、恐ろしくて考えたくない。愛されることとか、可愛がられることとか、自信を持つこととか全部、させて欲しかった。してみたかった。ださくて、口にできやしない。化け物は化け物のまま、どうかいつまでも怯えさせてくれ、可哀想な私がまだここにいてもいいように。

 

帰省して兄妹が揃うたび、お前は末っ子で女の子だから、1番甘やかして育てたんだと豪語する、その笑顔を苦々しく思いながら「1番殴られて過干渉を受けたのもを私だけど」と、脳内でだけ愚痴を溢す。まさか聞こえてないはずの兄達が、やれやれ、という表情をした、気がする。

もう、こんなことおおっぴらに言ってもられない年齢になった。

 

 

「夜の暗い海で迷う船を導く灯台の光のような 」「困ってる人に手を差し伸べて、優しくできる人になりますように」「導いていける人になりますように」という、とんでもなく使命に満ち溢れた、超偽善的な願いが込められた、あなたがつけた、私の名前だけは好き。28年生きて、自分一人でさえ、たびたび迷子になるっていうのに。

生涯名前負け。上等じゃん。

うっすらと抱え続ける希死念慮vs28歳人間

試合開始のゴングが、今、ここ、西東京のどうしようもない1DKにて鳴り響く。