将来の夢の欄には笑われて書けなかった 特になしと書いて今をその通り言い当てていた

人間としての生活が始まったのはいつからだろうか 1人での暮らしが始まったのはいつからだろうか 2人での暮らしが終わったのはいつだったろうか 人間としての生活が終わるのはいつなんだろうか

人間としての生活が始まったのはいつからだろうか 朝に起きて水を飲んで煙草を吸って無理やりシャワーを浴びて髪を乾かす 慌てて身支度をしてもう一度煙草を吸う 耳の穴にサイズの合ってないイヤホンの先をねじ込んで家を飛び出して駅まで真っ直ぐ歩く 真っ直ぐに歩く

1人での暮らしが始まったのはいつからだろうか 錦糸町の不動産屋で紹介されたその日 小岩の部屋を決めた 新築のオートロック付きデザイナーズマンション 簡単な漢字にいちいちつかえながら声に出して契約書を読む担当者をぼうっと眺めていた

2人での暮らしが終わったのはいつだったろうか やっぱり確かにつらかった

人間としての生活が終わるのはいつなんだろうか 嬉しい楽しいことだけで生かされてきたかと言えば違った

幸せになるなんて幸せになりたいと願うことなんて 恥ずかしくって できない