優しくしてくれてありがとうございます

ポケットの中で皺くちゃになった処方箋を取り出してぼうっと眺めて胃腸炎になったのは何回目か考えたが「健康」時の具体的な状態がわからなくなりそこからだんだん宇宙の暗さに脳がアクセスしてしまい気持ち悪くてさじを投げた。4日分の薬をもらってでかいビルを出てまたでかいビルに当たり前に帰っていく。本当は午前中にはストッキングの伝線に気づいてたけどめんどくさいから放っておいた。夜にはスカートの中で畳みたいになっていてかなり面白かったのに共有できる相手がいない。

これはあまりに日常的で今まで悩んだことがなかったが、人のどうでもいい話(私自身が不快になる話の場合)を聞いていると集中力を保たなくてだんだんと相手の声が小さくなって、なぜか左耳から小学生の時にやっていたスポーツの監督の説教が聞こえてきてそれがどんどん大きくなってきて当時の記憶が鮮烈に思い出される。当時もヒステリックや説教を聞いている最中にこの感覚に襲われて思考が止まって、いや、止まって、というよりこの感覚に飲まれて現実かどうかわからなくなる、自分が何故ここにいて何を言われているのか全く理解できなくなる、瞬間的にパラレルワールドみたいに捉えて、ここではこういう生活を送ってるんだなぁとめちゃくちゃ他人行儀な気持ちになる。 25歳にしてこれがあるとけっこう困る事に気付いた。そうえば幽体離脱して空を飛んだり車を運転したり文字に色がついて見えたり柱に刺さっている鍵がいろんな方向に動いたりして見えたのも同じ小学生の頃だ。それでも当時は健康診断で異常が発見されたことはなかったし、大きな病気もしなかった。それなのに今は風邪が腹に入り込んだだけでこんなに体調が悪くなる。成長って成人って納税って労働義務ってなんだ?今ほど純粋に生きてる瞬間は今までなかったのに。3月も終わり春になって着る服がないことに絶望している。これでも、悩み苦しむ日は減ったし関わる人には感謝している。人を切り捨てたつもりの人は同じ数だけ切り捨てられてる事に気付かないからずっとプラマイゼロなんだと思う。ゼロでいいなら、ずっとそこでそうしてろと思う。