千の夜

キッチンにて、腹ぺこで、ウッキウキでカップラーメンにお湯を注いで、ニヤつきながら部屋へ運ぼうとしたらちゃんと両手で掴んでたのにすっ転んで全部ぶちまける夜

 

油まみれのフライパンに放置した餃子が液状化していく夜

 

「お金がかかるものは何もいらないよ」と言うのをわかっていて母の日のリクエストをたずねる夜

 

自転車を駅の駐輪場に放置して1400円払う夜

 

越してから1年以上経って、やっと家賃の振替口座の書類を郵送する夜

 

カラオケに入って3時間眠るだけをして帰る夜

 

もうここまできたら、寝たら絶対起きられないから無理やり起き続ける夜

 

そこにあったはずのものが見つからない夜