1118日記

後輩が、錦糸町のPARCOがセール中で、次の休みは買い物に行きたいのだと、たらりと喋るのを聞いてた

どれだけ安いか調査して 結果を教えてよなんて適当に返して始業の今朝

 

 

 

上京して初めて住んだ部屋は錦糸町の不動産屋で契約した。内見に行ってフレンチスタイルの可愛らしい外観を見た瞬間に、もう決めてた。

エントランスにはアンティーク調のテーブルと椅子のセット、 お城で女王が使うような大きな鏡が備え付けられていた。浮かれて、何枚も写真を撮った。部屋には広めのキッチンと9畳のリビング  バルコニーだって付いてる。

オートロックの2階で、防犯も問題ない、駅から徒歩20分だけど、何も問題ないと思って迷いはなかった。

入居してから半年間、徒歩20分がダルすぎて毎朝タクシーで駅まで行ってた 問題がありすぎる。

 

 

すてきな部屋でのひとり暮らしも1年弱で終わって、ふたり暮らしになった。

ふたりで出掛けて、ふたりで帰ることが嬉しかった グリコをしながら家まで競争するのだ

「チョコレート」「パイナップル」「グリコ」

2人には、じゃんけんで後出しをしてはならないというルールは特になかった。負けても勝てたし、勝てても負けた。出し疲れた方が、折れて負けてあげる。

 

パーで私に勝ったあの人が、6歩しか進めない規則を無視して「パーーーーーーーーーーー!」と言いながら走り去ったときの揺れる背中を忘れないだろう スーパーで買い物して帰ってきたらマンションの前でNHK職員が待ち構えていて、回れ右して、川沿いまで戻って、買ってきたアイスを食べながら時間を潰したことだって、たぶん忘れないだろう。キッチンでやればいいのに、真冬にわざわざバルコニーに出て煙草を吸った。

「辞める、辞めない 辞める、辞めない、 お前が辞めたら辞める。」

 

くだらないこと、つまらない言葉ほど愛おしいと思えた。

変な踊り、変な合言葉、変な絵を描いたこと、お互いのことがわかるのは、世界でふたりだけだと、どこかで、ちょっと本当に信じてた。

たかが2年もない期間で割とすぐセックスレスで “なんかさ、特殊なプレイとか興味ないの”と恐る恐る聞いてきたあの人に 嫌悪感すら抱いて「あるわけない」と強く言ってしまったことだってそう。

全部終わった後、見るのつらいからカメラロールから全部消して、写真ほぼ全部なくなって、その時初めて、周りに誰もいないことに気が付いて、怖くてたまらなくなった。そしてあの人は、そうじゃなかった。ひどい裏切りだと思った。悲しかった。あなたひとりでいいと思ったから、他への労力全部注いだのに。情けないことだけどそう考えて不貞腐れた時期はあった。

今思えば、どうだったかな、やれてなかったかな、たぶん、やれてなかった。

思い出す度にぎゅっとなる 薄汚い街小岩

毎晩、あの頃とは全然違う幸せを噛みしめる